祐子の屈服

 台の下に身を隠している良美は恐怖に身を震わしていた。頭上での物音や話し声で祐子がどんな目に遭っているか良美はだいたいの想像が付いた。悪魔たちの淫虐さに身も凍るほどの恐怖を感じている良美であった。

 俎上の祐子の懊悩はますます激しくなり、松井はバイブレーターを手に取った。

 「奥さん。止めはこれで差してやるよ。ほんとは俺の肉棒の相手をさせたいけど栗山さんの許可が無いと出来ないからな」

 「うふふ、見てご覧。あれがもうすぐ奥さんの中に入れられるんだよ」

 留美は可笑しそうに祐子の頬を突付き、不気味なうなりを上げているバイブレーターを指差して笑うのであった。

 祐子はそれを目にしてもさしたる狼狽は示さなかった。燃え上がった身体にそれを打ち込まれる事でこの羞恥地獄を逃れられるのではないかという淡い望みを抱いて熱い頬を台に擦り付けるようにして目を閉じ合わせる。

 「覚悟を決めたようだよ」

 留美の言葉に頷いた松井はバイブレーターをゆっくりと挿入するとリズムを取りながら激しく優しくそれを操作し始める。

 祐子は切羽詰ったような吐息を吐き、身体をくねらせバイブレーターに絡みつくような反応を見せ始め、悪魔たち術中にすっぽりと嵌ってゆく。

 「ねぇ、奥さん。とてもいい気持ちなんでしょう。何かとおしゃいよ」

 留美に上気した頬を突付かれた祐子は潤んだ瞳を開いて留美を見た。その表情から蕩けだすような色気を感じた留美は思わず唇を合わせてしまう。

 祐子の脳裏から少女たちに身体を溶かされているという嫌悪感はいつしか消し飛んでいた。目の前にある水に手を伸ばしても届かないというじれったさのような情感に支配され、大の字に固定された裸体をくねらせ、頂上に邁進して行くのだった。

 「あっ、あっ、往っちゃうぅ~~」

 留美が口を離した瞬間にそれは突然、現れた。固定された上半身を上下にうねらせ、攻撃を受けている下半身をピーンと緊張させて祐子は悪魔たちの軍門に下ったのである。

 「まあ、随分、派手ねぇ」

 留美は頂点を極めた祐子の反応の凄まじさに驚きの声を放ち、全身を痙攣させ続ける白い生き物の生態に目を瞠るのだった。

 祐子の筋肉が弛緩したのを目にした松井が矛先を引き上げると祐子は大きな溜息を付いてぐったりと顔を横に伏せた。

 「凄かったわよ。奥様。随分、激しいのね」

 留美が意地悪く祐子のはにかんだような横顔を見つめて言うと祐子はその言葉で自分が少女たちの目の前に狂態を晒した事を思い出し、嗚咽の声を洩らすのだった。

 更に留美は無残に広げられたままにされている祐子の下半身に目を注ぎ、その部分に目を凝らした。

 「このままじゃ、可哀想だからお掃除してあげる」

 ティッシュを取り出した留美が情欲の証を滴らせている肌を丹念に拭い始めると祐子は顔面一杯に恥じらいの色を浮かべ、嫌々と首を振るのであった。

 掃除を終えた留美は肉の合わせ目から首を出す祐子の陰核を見つけると残酷そうな笑みを浮かべ、それを指に挟んだ。

 「気持ち良さそうに尖らせちゃってさ。余程、楽しかったんだね」

 揺さぶられるたびに苦しげな息を吐き、悔しげに唇を噛み締める祐子の表情を楽しんだ留美は更に嗜虐心を加速させるとポケットからビニールて被覆された短い針金を取り出した。

 「ちよっと悪戯させてもらうね。奥さんを色っぽくするためだから恨まないでね」

 松井に陰核を抓ませるとその根本に針金を巻きつけ始めたのだ。

 「な、何をするの?馬鹿な真似は止めて」

 祐子は腰を跳ね上げ、何とか留美の手を逃れようとするのだが松井に押さえ付けられるとその足掻きも虚しいものになってしまい、咽び泣きながら針金をキリキリと巻きつけられてゆくのである。

 「やったわ。見事に突き出たわ」

 留美は祐子の股間に突き出すように誇張されたそれを見て満足の笑みを洩らして身体を起こした。

 それを括られた祐子はシクシク啜り上げながらも時折、甘い情感が込みあがってくるのだろう太股を震わせたり、腰を揺さぶっている。

 両腕の拘束を解かれ、上体を起こされた祐子はすぐさま松井に腕を取られ、後手に縛り上げられてゆく。

 「ひ、酷いわ。外してよ」

 額にまで汗を浮かべて訴える祐子を笑った留美は別のポケットから例の鎖を取り出した。

 「これで昨日は脂を絞られたんでしょう」

 その鎖を取り付けられ狂態を示した事を思い出した祐子ははっと目を逸らせた。

 「これを取り付けられるよりよっぽどましだと思うわよ。ねえ、奥様」

 祐子は何も言えずに頬をブルブルと痙攣させている。次々と繰り出される淫虐な責めに祐子の胸は今にも溢れ出しそうになってくる。

 「胡坐を組みなよ。奥さん」

 タイルの上に腰を落とさせられた祐子は留美に命じられると足を組み始めた。彼らの言いなりになって早くこの責苦を逃れようと祐子は考えたのだ。

 「これでよし」

 祐子の足首を紐で縛り上げ、胡坐縛りに留美が仕上げると松井がその前に立った。

 「奥様に今度はおしゃぶりのお稽古をして貰うわ。ここの女たちは皆、それを仕込まれて上達してるんだから、一番、年上の奥様が下手だったら笑われるからね」

 疲れきり、陰核を締め上げられる我が身を責め苛もうとしている悪魔たちに祐子は声も出ない。昨日まで平凡な主婦であった自分が何でこんな悲惨な目に遭うのか、祐子は運命を呪いった。

 「さあ、しっかりおしゃぶりするのよ」

 松井がいきり立った一物を祐子の眼前に突き付けると留美が緊張のために蒼白になった頬を突付いた。

 「嫌、嫌なよ」

 祐子がそれから顔を背け、吐き捨てるように言うと留美は髪の毛を掴み、その柔媚な頬を激しく打ち据えた。

 「何度、言ったら判るの?奥さんは色修行のためにここにいるんだよ。男のものをまともに見られないようでどうすんのさ」

 激しく叱責された祐子は自分が拒絶を突き通せば良美にやらせると悪魔たちが言い出しかねないと思うようになった。そのためにはこの醜悪な生き物の興奮を自らが沈めてやらねばと思うようになってきた。

 祐子はそれに悲しげな視線を這わすとそっと舌で先端を嘗め回した。

 憎みても憎みある男の一物を愛撫しなければなららない悔しさ、情けなさが込みあがってきて祐子は口を離すと涙に咽んだ。しかし、留美はそんな祐子に燐情の一辺も感じない。再び、髪の毛を掴んだ留美はそれを祐子の目前に突きつけた。

 「ないてる場合じゃないのよ。奥様。はやく始末してあげなきゃ松井さんが可哀想でしょう」

 留美に叩きつけるように言われた祐子は意を決すると松井のそれを大きく口を開いて口中深く包み込んだ。

 祐子の腋の下から新たな汗が吹き出し、心臓も高鳴っている。

 祐子が咥え込んだまま微動だにしないのに業を煮やした留美は顎に手を賭け、前後に揺さぶった。

 「こうやって顔を動かして楽しませくちゃ駄目じゃない。奥さん。まったく、世話が掛かるんだから」

 留美は吐き捨てるように言うと涙を滴らせている祐子の耳を引っ張った。

 「こんなにフェラチオに慣れていない人妻がいるなんて信じられないよ」

 留美に言われた松井もその稚拙に首を傾げた。

 「奥さん。しっかりやらないといつまで経っても終わんないぞ」

 祐子は松井に言われてもどこかぎこちない格好で首をくなくなと動かすだけであった。祐子の夫はフェラチオを嫌がる祐子を気遣って、もっぱら手で前戯を済ませており、祐子は久々のフェラチオだったのである。

 「ねえ、こんなに下手だったら三枝先生に怒られるわよ。明日から毎日、三度、練習させましょうよ」

 「よせやい。そんなに酷使されたらいくら俺だって夜に立たなくなるぜ」

 留美の発想に松井が却って怖気づいた。しかし、留美は何か魂胆があるらしく意味有り気な笑みを浮かべて祐子の愛撫を受けている松井の耳に口を寄せた。

 それを聞いて松井も安心したらしくしたり顔で頷いた。

 そんな二人の会話など一切、耳に入らぬかのように祐子は股間を締め上げる針金に難儀しながら一心不乱に汚辱の口吻を続けていた。