由里の逆襲

 留美が後手に縛られた優美な裸体をロープに吊るされると三枝は跪いている奴隷たちの前に歩み寄った。

 「由里、お前が望むなら、準奴隷に昇格させてやってもよいぞ」

 声を掛けられた由里ははっと顔を上げた。今までいいようにあしらわれて来た留美に対する恨みを返す機会を由里は逃すはずも無かった。

 「お願いします」

 二つ返事で昇格を受け入れた由里は嬉しそうな顔をして立ち上がると三枝にぺこりと頭を下げた。

 「よし、こっちへ来い」

 三枝に促され由里が自分の近くに来ると留美は悔しげに顔を背けた。昨日までとは立場が180度変わった二人の関係であった。

 「それを着なさい」

 手錠を外された由里は先程まで留美が身に着けていたジャージを嬉しそうに着込んでいる。ここに捕われて以来、褌以外は肌を覆う物を許されなかった留美はそんなことでも嬉しいのである。

 恵子は複雑な表情で由里の昇格を眺めていた。自分には色々の面で面倒を見てくれた先輩が失脚し、自分が虐め続けてきた女が昇格したのだ。これからの事を思うと恵子は気が重かった。

 「恵子。お前がもし留美に手心なんか加えたら、お前も地下室に行ってもらうからな」

 心を見透かしたように言い放った三枝の言葉に恵子は思わず身震いした。へたなことは出来ないと恵子は項垂れた留美を見るのだった。

 「由里。お前が留美の繁みをそり落としてやれ」

 「え、私がやっていいの?」

 松井に言われた由里は目を輝かせた。逃亡を謀った際のリンチで留美に良いように弄ばれた由里はその時の仕返しだとばかりに留美の黒々と生え揃ってる陰毛に目を注ぐのであった。

 「まず、これでシャボンを塗りつけてやりな」

 泡立てた石鹸と刷毛を渡された由里は留美のふっくらと盛り上がった繊毛に手を差し伸べた。

 「綺麗に生え揃ってるね。剃り上げるのが惜しいね」

 意地悪そうな顔をして自分を見上げる由里を見て留美は込み上がって来る屈辱感にキリキリと歯を噛み鳴らし、太股をぴったりと閉じあわせた。昨日まで由里を目の敵にしたように責め続けていた留美はその恨みを知っているだけに身も凍る恐怖を覚えていた。

 留美が辛そうに眉を寄せた。由里が鼻歌を歌いながらシャボンを塗りつけ始めたのだ。

 由里は震えている留美の太股にピッタリと頬を押し当て、丹念にシャボンを塗りつけては時折、悔しそうに目を閉ざしている留美の顔を盗み見ては笑みを洩らすのだった。

 「これで剃り落としてやんな」

 シャボンを塗り終えた由里に松井が剃刀を手渡すと由里は愛らしい臍を突付いた。

 「それじゃ、剃り上げてるやよ。動かないでよ」

 留美が目を閉じたまま頷くと由里は剃刀を動かし始めた。留美の太股がその不気味な感触に小刻みに震えだす。しかし、留美は自分でその身悶えをなんとか封じようとていた。気位だけは捨てられない留美だった。

 「感心だね。我慢してるんだね」

 片方の手で太股の合わせ目を愛撫しても声一つ洩らさない留美を見て、由里の闘志は掻き立てられた。何が何でもこの女に恨みを返さねばと由里は思っている。

 由里の小憎らしい愛撫を受けながら留美は繁みを刈り取られていく。それを眺めながら男たちは恵子に酌をさせて、酒を飲み交わしている。

 「そういえば栗山さんが、明後日、こちらに来るそうだ」

 「そうですか、忙しくなりますね」

 三枝に留守中の伝言を聞いた塩野はこっくりと頷いてグラスを空けた。

 ここの家の電話は三枝の部屋にしかなく常に留守電状態になっている。三枝の部屋には常に鍵が掛かっており、三枝の許可なしでは立ち入ることは出来ないのである。

 「祐子に大便はさせてないか気にしてたぞ」

 三枝が笑うと松井もつられて笑った。

 「栗山さんらしいですね」

 「彼は俺、以上に排泄嗜好だからな。目を付けられた女は大変だよ」

 三枝は笑うのを止めて剃毛の刑を受けている留美に視線を凝らした。三枝はビデオのスイッチを切られた事を事の他憤慨していた。地下の奴隷たちの生態を覗き見ることは彼の大いなる楽しみなのである。

 「そら、出来た。さっぱりしただろう」

 タオルを使ってシャボンを落した由里が無毛の丘となったその部分を見て満足の笑みを洩らすと留美は耐えられぬ屈辱感に歯をキリキリと噛み鳴らした。

 「そんなに悔しそうな顔をするもんじゃないよ。まだ、剃られただけじないか。これからが本当のお仕置きだよ」

 由里の笑顔を一瞬、恨めしそうな表情で見た留美はすぐさま目を閉ざした。これから我が身を襲うであろう、屈辱の嵐に留美の胸は高鳴るのであった。