「そうか、弘美はそんなにけなげだったですか?」
「ええ、母親の誘拐を思いとどまらせようと必死でしたよ」
三枝と栗山は遅めの昼食を食堂で摂っていた。二人の話題はもっぱら弘美の母親に関することばかりだった。誘拐のプランはほぼ完璧に固まりつつあった。今回の実行犯は栗山が務める事になった。三枝のたっての願いを断るわけには行かなかった。
「さて、夜のお楽しみを前にどの娘を弄りますか?」
「美希君は如何でしょう?彼女は一番目立たない存在だとおもいますが」
「彼女はここに捕われて以来、誰の手垢も付いてませんよ。私のフェラさえした事がない。たぶん処女だと思いますよ」
三枝は物好きだと言わんばかりの顔をして栗山を見つめた。
「ええ、だから彼女は風呂にも余り、入ってないんじゃないかと思いましてね」
「そうですね。美希は殆ど地下にいますから十日以上入っていないと思いますね」
「ではお願いします」
栗山の言葉に苦笑いを浮かべながら三枝は頷いた。
部屋に連れて来られた美希は恐れを抱いた表情を浮かべて栗山を見ている。少女は男と二人きりになった事で恐怖が倍化されたのだろう小刻みに幼い裸身を震わせている。
「そんなに固くなる必要はないのさ。君が暫く、お風呂に入った事が無いと聞いたから入れて上げようと思ってね。いつから入ってないの?」
「判りません」
少女は蚊の鳴くような声で訴えた。地下室にいると昼夜の区別さえ判別できない。しかし、自分の身体が臭いという事は知っていた。隣の弘美が以前より親しくしてくれなくなったからだ。
「入りたいでしょう?」
美希はこっくりと頷いた。
栗山は美希を伴って風呂場に赴いた。脱衣所でまたひと悶着あった。美希がパンティを脱ぎたがらないのだ。
「裸にならなければお風呂に入れないでしょう。さあ、脱いで」
先に全裸になった栗山がそれを剥ぎ取ろうと近づくと美希は思い詰めたような表情を浮かべる。
「な、何もしないと約束して下さい」
余りに真剣な表情で美希が訴えるもんだから栗山は苦笑を浮かべるしかなかった。
「じゃあ、約束するよ。君の肩から下には僕は一切、手を触れない。これでいいだろう?」
栗山の言葉に少しは安心したのか美希はその小さな布切れにようやっと別れを告げた。
久々の入浴に美希は余程、気持が良かったらしく、栗山と一緒に居ることも忘れて晴れやかな笑顔を見せて湯に浸かっている。そんな美希を見ながら栗山はどうやってこの少女を追い詰めようか思案していた。