淫虐姉妹 第1話 「再 会」

「あったあった、ここだ。」

都立霞ヶ丘高校の3年生、寺崎 亘(てらさき・わたる)は、手元のメモにある住所と目の前の表札の文字を確認しながら、一人呟いた。


晩秋の午後、この季節としては珍しい程に晴れ渡った青空には、雲一つない。

だが、時折頬をかすめる風は肌に冷たく、それがサラサラと枯葉を鳴らし、忍び寄る木枯らしの季節を予感させていた。


「それにしても大きな家だなぁ..」

ワタル(わたる)の眼の前には、ここ『山の手』の高級住宅街においてすら、今では滅多に見ることのでき無い、『堂々たる』和風の大邸宅がそびえ立っている。

時代劇に登場するようないかめしい門構え、巨大な築山に石庭を配した豪壮な庭園。

どれをとってもワタルの度肝を抜くような規模である。


表札に書かれた『九條院』の文字が一際大きくワタルの目に入った。


明治大正以来の由緒ある建物らしく、館は総檜(ひのき)造り、高級瓦で屋根を葺き、高い塀に囲まれた芝生の庭には、シェパードやドーベルマンと言った、何頭もの番犬が飼われている。


まだ高校2年に過ぎないワタルが知らないのも無理は無かったが、この屋敷は『華族』として知られる『九條院侯』に連なる、一族の邸宅であった。

『九條院』と言えば、歴史の教科書にも登場する名門の公家で、戦前は貴族院議員はもとより、財閥の幹部、大銀行の頭取や政党幹部、或いは高級官僚まで多数輩出した『清雅』の家である。

ワタルが今立っている『この家』は、先々代『九條院秀麿(侯爵・貴族院議員)』の時に東西南北に分家した『九條院北家』の現在の当主、『九條院道隆(みちたか)』の邸宅であった。


久美子が家を出る時に、行き先は金持ちの家とは聞いていたが、まさかこれほどまでの大邸宅と思っていなかったワタルは、驚くと共に、少々の『気後れ』を、感じていた。


「久美ちゃん..こんな家のお嬢様になっちゃったんだ..」ワタルは独り呟いた。

その言葉の内には『ボクの手の届かない..』と言う言葉を含んでいる。


同級生だった吉沢久美子が「姉の嫁ぎ先のお世話になる事になったから..」と言って、居候していたワタルの家を出て行ったのは1カ月前の事である。

「落ち着いたら連絡するから、その時は遊びに来てね!」そう言って制服にバッグ一つで出ていった久美子..。しかし、その後久美子から連絡が来る事は無かった。

いつのまにか学校も退学し、担任に聞いても、その後どこに転校したのかもわからない。

ただ『退学届けが出され、受理されたので』..の一点張りだった。


「久美ちゃん..一体君はどうしちゃったんだい?何故..ボクに連絡をくれないんだ。」


幼なじみの久美子に対して、ほのかな恋心を抱いていたワタルは、何度と無く久美子の事を心配する手紙を書いた。

だが、いずれも無しのツブテ..。

「久美ちゃん..もう君はボクの手の届かない別世界の人になってしまったのかい?」

学校から帰るたびに、ワタルは何度と無く久美子からの手紙をポストに探した。

だが、依然久美子からの連絡は無く、こうして連絡が途絶えて早や1カ月が過ぎていた..。


「久美ちゃん..今日こそは、はっきりさせよう。」

とうとう堪りかねてワタルは久美子の行き先である久美子の姉・亜矢子の嫁ぎ先を訪ねる決心をしたのだった。

亜矢子の嫁ぎ先..それこそが、目の前の大邸宅『九條院家』だったのである。

「あれから1カ月かぁ..。久美ちゃん元気かなぁ..。」


吉沢久美子の両親が自動車事故で亡くなったのは今を遡る、半年前の事だった。

それは哀しみに涙する間も無い程にあまりに唐突な出来事であり、残された子供達にとっては、まさに青天の霹靂と言える出来事だった。


だが、悲しんでいる暇は無い。

両親には係累が無かった為に、2人の美しき姉妹は、誰にも頼るべき親類がいなかった。そう..両親の死により、久美子と亜矢子はこの世にたった2人の『家族』となってしまったのである。

つまり、天涯孤独のそんな状況の中で、2人の姉妹は、親から遺された家を守って、生活して行かなければならなかったのである。


勿論、2人には学業もある。

女子大の3年である亜矢子はともかく、久美子には少なくとも高校を卒業するまでは学業を続けさせなければならない。

こうして姉の亜矢子は、稼ぎのいい、深夜のファミレスのバイトに出る事にした。

親の残した資産だけで学業を続けながら生活する事が、心もたなかったからである。

高校生の久美子と、女子大に通うその姉の亜矢子..。美しき姉妹の新しい生活が始まった。


だが、両親の死から半年も経たないうちに姉の亜矢子に結婚話が持ち上がる。

正確には、事故から4カ月経った..今から2カ月前の事だった。

これもまた、『両親の死』同様、2人にとって唐突な出来事であった。


家を維持し、生活して行く為に始めたファミレスのバイト先で、偶然に見初められたのがきっかけだった。

亜矢子に求婚した相手の名は、『九條院道隆(くじょういん・みちたか)』。

戦前からの華族の家柄にして、米国でMBAを取得、経営コンサルタントを経て、若くして大銀行の部長を務める生粋のサラブレッドであった。

血筋、顔、スタイルの何れも良し、収入・財産共に全く申し分の無い男性である。

但し離婚歴が3度もあり、初婚で無いのが気になったが、それを補って余りある容姿、家柄、財産で、共に申し分無く、まずまずの『良縁』と言えた。


年は38才。年齢こそ女子大生の亜矢子とは20近くも離れているが、1・2度会って見ると、30代後半にしては爽やかすぎる程の男性で、しかも亜矢子の同年代の男性には無い大人の雰囲気と知的な優しさに溢れていた。

しかも、テニスと筋トレで鍛え上げられたそのキャリアに似合わぬ筋骨隆々たる体躯は、年齢を感じさせぬ程に若々しく、黙っていれば20代後半でも通用するくらいの容姿を持っていた。

亜矢子の様に世間知らずの、しかも身よりの無い娘にとっては、本当に願っても無い程の良縁に思えた。

離婚歴が3回もあるのは気になったが、それにしても、相手が我が儘放題の金持ちのお嬢さんだった事が原因と聞いており、道隆の側に、殆ど非は無かった事を聞かされると「その通りに違いないわ。」と信じさせる所もあった。九條院道隆は良家の出にふさわしく、本当に紳士的で、洗練されたマナーと優しさを身に着けていたのである。


この年上の『王子様(いささかトウはたっているが)』から、出会ったその日に求婚された亜矢子は舞い上がった。

しかも相手は亜矢子の学業についても理解があり、妻としての務めさえ果たしてくれれば引き続き女子大に通う事は一向にかまわないと言う。

勿論、生活が落ち着いたら、妹の久美子を引き取る事も可能で、その時は自宅から通学する事も可能だと言う事だった。これは、普通なら願っても叶わない夢の様な話である。


亜矢子は悩んだ。自分にとっては二度と訪れるかどうかわからない良縁ではあった。

だが、自分には妹の久美子がいる。

両親が死んで一年も経たないうちに自分だけが幸せなって良いものかどうか..。

亜矢子にとって眠れない日が続いた。


「未だ高校生の妹を独り残して幸せになる事は、姉としての責任放棄では無いか..

そう、考えたのである。

「このままだと、お姉ちゃんは幸せになれない..。」

雰囲気を察した妹の久美子は、家を処分して姉の持参金や嫁入り道具に充て、自分は家を出て自活する事を提案した。

「ダメよ。高校生の貴女に、自活するなんて事が出来るはず無いじゃない。」

亜矢子は反対した。


「大丈夫よ。一人暮らしと言っても僅かの間だわ。お姉ちゃんが落ち着いたら、道隆兄さんにお願いして私を呼んでくれればいいんだから..。ネ?」

姉と共に何度か食事を共にして、妹の久美子もすっかり『九條院道隆』びいきになっている。

..と言うより、このままズルズルと言けば、姉は確実に婚期を逃してしまう事になるだろう。

妹の為なら自分を犠牲にしても何とか頑張る..そう言う姉だった。

久美子は自分の為に姉の幸せをむざむざ犠牲にするような事だけはしたく無かった。

「お姉ちゃん、こんないい話は滅多に無いのよ。玉の輿じゃない。ネ、道隆さんみたいな素晴らしい人はそうそう居ないわよ。」

「だって、久美ちゃんが..」

亜矢子は最初反対していたが、いずれ姉の新婚生活が落ち着いたら一緒に暮らすことも出来るのだし、第一、今の経済状態ではいずれジリ貧になるのは目に見えていたから、何れどこかの時点で家は処分しなければならない、だとすれば今が最も売り時だと言う事を妹から説かれると、さしもの亜矢子もだんだんと弱気になって行った。

「久美ちゃんの言う通りかもね..」


更には、久美子のこの一言が、亜矢子の反対をうち砕いた。

「お父さんとお母さんの残してくれた財産だけで九條院家との婚礼の身支度を整える事は、相手先との釣り合いから考えて難しいと思うの。そうなると、今の私たちには家を処分するしか纏まったお金を作る手段が無いでしょう?つまりは、お姉ちゃんが幸せになる為には、何れにしても私が家を出る必要があるのよ。わかる?」


理路整然たる理屈である。確かに、今の2人にとって、それがベストの選択と言えた。

悩んでいた亜矢子の背中を押したのは、意外にも久美の幼なじみであり、隣家に住んでいた寺崎ワタルの母親だった。


「ねえ、久美ちゃん、家に来ればいいじゃない。うちは一人っ子だし、久美ちゃん一人くらい増えたって、どうって事無いわ。それに家族ぐるみのつきあいで、ウチのワタルとは幼なじみだし、小さい頃から知っている久美ちゃんがうちに来てくれれば、おばさん、娘が出来たみたいで、とても嬉しいわ。ねえ、そうしたら?部屋は空いているし、大歓迎よ!」

ワタルの家ならば亜矢子も文句は言えない。昔から知っているだけに、ワタルの優しい気性も、よくわかっていた。確かに、そうなれば全ての問題はクリアする。

亜矢子が落ち着いた所で久美子を呼び寄せれば、そう迷惑をかける事もあるまい。

こうして、ワタルの母親のアドバイスにより、久美子は近所の幼な馴染み・ワタルの家に住むようになったのである。


まだ互いに言い出す事は出来ないでいたが、2人は互いにほのかな恋心を、胸に秘め合う仲であった。


ワタルにとって、久美子を『異性』として意識し出したのはいつ頃の事であったろう。

隣家の美しき姉妹はワタルにとってはずっとあこがれの対象であり、殊に同じ年の久美子とは幼稚園からずっと一緒で『ワっくん』『クミちゃん』と呼び合う程の親密な仲だった。

それが、成長するに連れて互いに男女を意識するようになり、何となく互いに一番大事な人になっていた。

同居が2人の仲を進展させるのは自明の理であり、プラトニックな関係ではあったが、2人の仲は急速に進展した。


だが、蜜月は1カ月で終わった。姉の亜矢子が約束通り久美子を呼び寄せ、久美子は九條院の屋敷に行く事になったのだ。

「色々とお世話になりました。むこうに落ち着いたら、是非遊びに来てね。」

そう言って久美子はワタルの前から去っていった。

だが、勿論その時のワタルは、それが『永遠の別れ』になろうとは思いもしなかったのである。


「まあ、川崎の方からおいでになったの?それはそれは随分と遠くからおいでになったのねえ。」

お手伝いらしき女性に誘われ、シャンデリアの輝く客間に通されたワタルは、現れた老婦人にぎこちなく挨拶した。老婦人はこの家の女主人であり、当主の母親だと言う。つまりは久美子の姉、亜矢子にとっては、姑(しゅうとめ)にあたる事になる。


「下町や川崎の方はわからないわ。何せあちらは空気も汚いし、町も何となく雰囲気がねえ..」

ワタルや久美子達にとっては生まれ育った町でも、この老婦人の目には、相変わらずゴミゴミとした町に映るらしい。

山の手に生まれ育ち、下町には行った事も無いと言う気位の高い老婦人との会話に辟易しながらもつき合わされたワタルは、なかなか姿を現さない久美子の事を思いながら、焦れったく待たされていた。

どうして来ないんだろう..久美ちゃん、こんな大きなお屋敷のお嬢様になっちゃって..

もしかしたら、もうボクなんかに会うつもりは無いんじゃないだろうか..そんなイヤな予感だけがワタルの胸をよぎっていた。


「ああ..そうそう..貴方、そう言えば久美子に会いに来たんだったわよね。オホホ..そうね..、そろそろ準備が整ったはずだわね..もう、来る頃じゃないかしら。」

小一時間ほど喋った頃、やっと老婦人の方から久美子の話を切り出した。


そうですか..久美子が自分に会うのを拒絶しているわけでは無いと知り、ホっと胸を撫で下ろしたワタルだったが、老婦人の『久美子』と言う言葉に何故かひっかかりを感じるのだった。

身内を呼ぶ時に呼び捨てにするような、そういう『久美子』と言う語感では無く、むしろ蔑むような..そう言う響きを持った言い方だった。


そう言えば、ワタルが久美子に会いに来た事は最初に伝えてあるにかかわらず、老婦人はこれまで久美子の話題に触れる事は無かった。何故..?ワタルは思っていた。

年をとれば自然我儘になる。自分以外の事はあまり話題にしなくなるものだ。

だが、それでも何か老女の態度は異様だった。いや、決して不審な態度をとっていたわけではない。ただ、何となく『異様な印象』を与える態度だったのである。


「久美ちゃん..いや、久美子さんは元気ですか?」思い切ってワタルは尋ねた。

「『久美』..?  ホホ..。そう..そうだったわね..。『久美子』って名前だったんだけ..でもねえ、今では名前も変わってるの。そう、『久美子』では無く、『クリ子』になってるのよ。

..そう、あの娘、元気よ。そう、とっても元気に毎日毎日、殿方相手に妾(めかけ)修業に励んでいるわ。」

「なっ..何ですって?!」我が耳を疑ったワタルは、再度老女に問い質した。

「久美子はねえ..子供を産めない亜矢子に代わって、この九條院の家に跡継ぎをもたらす為に道隆さんの側女(そばめ)として、妾(めかけ)奉公に上がっている身なのよ。だから、少しでも早く跡継ぎをもうけられるように色々な殿方の御タネを頂戴している身なの。まあ..もっとも未だまだ見習いの身だけどね。」

「..!!」ワタルは我が耳を疑った。「めかけですってぇ?一体それはどういう意味なんです?」

ホホホ..老婦人は笑った。笑った後で言った。

「信じられない..?信じられないでしょうねぇ..」そう言うと、老婦人は意味ありげに客間から奥に通じるドアを指差した。

「実はもう一時間も前からあのドアの向こうに立たせていたんだよ。お客様へのコーヒーが出来上がるのを待つ為にねぇ。コーヒーが入ったから、そろそろ『クリ子』に給仕させようと思っていたのさ。」

「なっ..何ですってぇ?!」ワタルは思わず声をうわずらせて叫んだ。

「そろそろいい頃だね。出ておいで、淫乱妾(めかけ)奴隷、クリ子!」

ギィー..ドアが開くと同時に、その向こう側に立っていた人影が動いた。

「くっ..久美ちゃん..」

そこに立っていたのは、紛れもなくワタルが一ト月前に別れたばかりの久美子だった。

つぶらな瞳、程良くぽっちゃりとした唇。雪の様に白い肌..。

そう..間違いなくワタルの愛した初恋のひと..久美子、そのものだったのである。



だが、その姿は、あまりと言えばあまりにも変わりはてた姿だった。

良家の奥様の妹として姉の嫁ぎ先である財産家に引き取られたはずの久美子は、良家の令嬢ではなく、その使用人が着るような、メイドの様な服を着せられていた。

ただし..それは上半身だけの事である。

下半身はスカートでは無く、奇妙な形をしたパンツで秘所を覆われていた。


パンツは正面に大きな蝶の飾りがついたビキニ状のもので、後ろはTバックになっている。ただし、それは羞恥の秘裂を最小限に覆う程度の役割しか果たしていない。

その証拠に、蝶の飾りの間から垣間見える羞恥のデルタ地帯には毛が全く生えておらず、その表面のブツブツとした凹凸から、明らかに剃毛が施されているのがわかった。


洋服を着ているとは言え、肌に貼り付くようなサテン地のメイド服は、胸の部分がはだけられ、そこから豊満な乳房が完全にこぼれていた。

そう..つまり上半身も下半身も、洋服は羞恥の部分を全く隠す為に全く役に立ってはいなかったばかりか、むしろ強調するような効果しか与えていなかったのである。


乳房も露わな服装の久美は、手に湯気の立つマグカップを載せた給仕盆を捧げ持たされていた。だが、その給仕用の盆(トレイ)についても、実はただの『お盆』では無かった。

『お盆』は、久美子の乳房に取り付けられていたのである。

いや..正確に言おう。久美子の左右の乳首には無惨にもリングを通す為の穴が穿たれ、そのリングから延びる鎖が、リング盆の前端左右に繋がっていた。

つまり、盆の重さを『吊り棚』のように、乳首だけで支えさせられていたのである。


勿論、いかに若々しい肌が柔軟性に富んでいるとは言え、乳首だけで盆と満タンのマグカップの重量を支えるのは容易な事では無い。

その証拠に、久美子の乳首は限界ギリギリまで引き延ばされていた。

マグカップと盆の重さに耐えかね、鎖に引き延ばされた乳首が悲鳴を上げているかのようだ。


「この娘ったら、何度やってもコップをこぼすのよ。お客様の前で不調法でしょう?だからこうして、お盆をオッパイに括りつけてやる事にしたの。名案でしょう?こうすればオッパイが千切れない限りは、まずお盆をひっくり返す事は無いからね。」

久美の顔が苦痛に歪むのとは対称的に、老女の方は笑っていた。

「見てご覧なさい。カップがオッパイの谷間に挟まっているでしょう。ああしないと、カップがお盆からこぼれ落ちてしまうのよ。全く近頃の若い子と言ったら、コップ一つ満足に給仕する事も出来ないのよねえ..」


煮えたぎるコーヒーが満々と湛えられた銅製のマグカップの表面は100度を超える熱さに違いない。

その灼熱の様に燃えるカップを敏感な谷間に押し込まれ、久美子の乳房は、内側だけが赤く変色していた。

「さあ、クリ子、こっちに来て、お客様にちゃんとご挨拶しないか!」

老婦人の口調が明らかに変わった。そう..それは良家の老婦人では無く..、まるで犬や猛獣を躾ける調教師の様な口調であった。

「は..はい..ご主人様」久美子はワタルから視線を逸らすように前に歩み始めた。

湯気の立ち上るマグカップを乳房の谷間に挟みながら、苦痛に歪む表情で一歩一歩前に歩み出る。



一歩あゆむ度に盆が揺れ、引き千切られるような激痛が乳首に走る。痛みに耐えかね、白い乳肉がかすかに震え、振動が乳首の鎖を通じて捧げ持たされた盆に伝わる。

盆が揺れればカップから零れた熱湯のしぶきが、白雪の様な乳房を襲う。


久美子の歩みは遅々として進まない。

「全く..愚図でノロマな娘だねえ..そのみっともないオッパイの間にあるコーヒーが冷めちゃうじゃないの..。」

「すっ..すみません。」

お盆を吊り下げた乳房をユサユサ揺らしながら、やっとのことで久美子はワタルの目の前に立った。

「さあ、お客様にご挨拶をおしっ!」

「はっ..はい..」

あまりの変わり果てた姿に呆然とするワタルの目の前で、久美子はぺこりと頭を下げた。

「ワタルくん..お久し振り..です。」

「久美子..」惚けた様な表情でワタルは目の前に立った久美子を見上げていた。

その目の前には、確実に以前より10センチは豊かになったであろう、久美子の豊満な乳房がある。特殊な豊胸手術を施されたのか..それとも元々着やせするタイプで、本当はボリュームのあるバストだったのか..?ただ、いずれにしても初めて見る生身の乳房は、ワタルを圧倒する程のグラマラスなものだった。


「大きいでしょう?この娘の乳(ちち)ったら..。この娘はねえ、殿方にいたぶって頂く為に、わざと乳を絞り込む様な服を着て、毎日揉んで頂いたり、鞭で叩いて頂いたりしていたの。だからこんなに腫れて、大きくなったのよ。」



..違う..違うのよワタル君..久美子は心の中で叫んでいた。事実は、オッパイを覆う巨大な真空吸引器を毎日装着され、更には卑猥な乳房マッサージと、乳房を大きくする為の得体の知れない『アジアの秘薬』を、毎日強要され続けた結果、たった1カ月で見違える程の巨乳に変身させられていたのである。


だが、その真実をワタルに伝えるわけには行かない。久美子自身が激しい折檻を受けるだけでなく、ワタル自身の身さえ危くする事になるのだ。


「クリ子、幾ら幼なじみとは言え、甘えちゃいけないよ!たとえ幼なじみでも、わたるクンは立派な『殿方』だろう?..殿方の前では言う口上があるんじゃないのかい!」

女主人の怒声に、久美子はピクンと肩を震わせていた。

「もっ..申し訳ございません。わっ..ワタル様。本日はようこそ..お越し下さいました..。

わっ..私は九條院家のお妾兼奴隷見習いとして..、ごっ..ご奉公させて頂いている..

いっ..淫乱なマゾ牝奴隷..『クリ子』と申します..。」

久美子は一旦ここで言葉を呑み込んだ。

..もうこれ以上の屈辱には耐えられない..かんにん..そう言う目で女主人の方を見つめる。

だが老婦人の目は久美子を一層怯えさせるだけだった。

「久美ちゃん..久美ちゃん..、いっ一体どうしちゃったんだい?」

ワタルは、久美子が完全に気がふれてしまったのだと思った。まるで淫乱症の様な服装、言動。今、目の前にいる久美子はワタルの知っている幼なじみの久美子では無かった。


「く..クリ子のおマンコは..もうジュクジュクなの..。わたる様..わたる様の..おっ..おチ○ポが欲しいの..。お願い、わたる様のおチ○ポを、一杯いっぱいクリ子に食べさせて下さい..。何度も何度も、タップリとクリ子に『中出し』して下さい..。お願い..クリ子は..クリ子は24時間..いつでも殿方のおチ○ポと精液..だけを食べていないと生きていけない..淫乱な..マゾの牝ブタなんです..」

「久美ちゃん..」ワタルは1カ月前とはまるで別人の様に虚ろな表情で淫らな言葉をはき続ける久美子の顔を見つめていた。


「!!」..何の音だろう..?

その時..初めてワタルは気が付いた。どこからかブーン、ブーンと言う、低いモーター音が洩れていたのだ。そう、それはまるでケータイのバイブレーションの様な音だった..。


どこだ..どこから聞こえるんだ。..ワタルは音の主を探した。そして、恐ろしい事に気づいたのである。


音は久美子の股間から聞こえていた。いや、正確に言うと、久美子のはいている黒革のパンティの揚羽蝶がブルブルと小刻みに震え、それ自体が音を立てていたのだった。

その振動は確実に久美子の肉芽を直撃しているはずだ。

「そっ..そんな..」久美子のパンツの異常に気が付いたワタルは、思わず久美子の股間を指さした。

そんなワタルの様子を見た老婦人は言った。

「ふふ..気がついたようだねえ。童貞の貴方にはちょっと刺激が強過ぎたかしらねえ。でも、クリ子の受けている刺激の方がもっと強いわよ。だって、クリ子のパンツは、全体が強力なバイブになってるんだもの。見て、あの綺麗な蝶々..、あの揚羽蝶の内側からは天狗のお鼻の様なディルドゥが延びてそれもブルブル震えているし、お尻にも同じものがついてて、常時ブルブルやっているの。その上、蝶の羽の裏側についたイボイボがクリ子の肉芽やビラビラにがっちりと食い込んで、それも常時クリ子自身を刺激し続けているのよ。ねぇ、強力でしょう?だから辛抱の足りないクリ子は、我慢出来なくてコーヒーを零してしまうのよ。」

久美子のパンティはやはりただのパンティでは無かった。それは前後の穴にバイブレーターを内蔵し、ラビア全体をまるごと覆うように刺激し続ける悪魔のバタフライを纏ったバイブパンティーだったのである。


上半身は丸出しの乳房を責め立てられ、下半身は辛うじて隠す事が許されてはいるものの、死にも優る屈辱的な淫ら責めを下半身に加えられながら、久美子はドアの向こうで1時間も待たされていたに違いない。


久美ちゃん..ワタルはドアの所に立った久美子に悲痛な声で呼びかけた。

快楽と苦痛の狭間に喘ぎながら、ワタルと老婦人の会話を聞かされ、どんなに苦しんだ事だったろう..。ワタルの心に沸々と怒りがこみあげて来た。

「ひっ..酷いじゃないか!久美ちゃんは..いや、久美子さんはこんな事をさせられる為にこの家に来たんじゃないぞ!。こんな事なら..こんな事なら、今日この場で久美子さんを連れて一緒に帰るからな。いっ..いや、幾ら年寄りだから、金持ちだからって容赦はしないぞ..訴えてやる、こんな酷いことをして許されるはずが無いんだ!」

「ふふ..元気のいいボウヤねぇ..」

老婦人はチラリと久美子の方を見た。顔こそ笑っているが、目は笑っていない。


「ねえ..クリ子、そうは思わない?」

..このバカ坊主を、無事にこの屋敷から出したかったら..わかっているね..

老婦人の目はそう語っていた。老婦人の手にした杖には、強力なスタンガンが仕込まれている。それがもたらす激痛は、久美子だけでなく、この家の誰もが思い知らされていた。

特に、年若い久美子は女主人の標的にされ、事ある毎に激しい折檻を受けていたのである。


満タンのビールジョッキを両手に捧げ持たされたまま、下半身を複数の男にまさぐられ、その淫らな感触に耐えきれずビールをこぼした時には、客の前で粗相をした罰として、その尖った杖先を幼い子宮にねじ込まれ、スタンガンのスイッチを入れられると言う激しい折檻を受けたのだった。

その苦痛は、久美子にとって一生忘れられないだろう。衝撃で失神した久美子が意識を取り戻す為には医師の介助が必要だったくらいである。


久美子にバイブを装着させ、常にその部分を刺激し続けるよう強要しているのも、久美子の粗相を誘う為の罠だった。それが、この家の女主人の密やかな快楽だったのである。


「ボウヤ..いいかい、ようくお聞き。女って言う生き物はねぇ。魔性(ましょう)なんだ。年齢や容姿なんて関係ない。牝に生まれついた女はどんなに若くてキレイでも所詮は淫乱な牝ブタに過ぎない。そう言う女は、手当たり次第に男を咥え込むのが生き甲斐で、その為なら何でもやるのさ。勿論、そう言う女ばかりじゃ無い。アタシみたいな高貴な女は違う。だからわかるのさ、一皮剥けば淫乱な奴隷になる女と、そうじゃない女の臭いがねえ..。あんたの前じゃどうだったか知らないが、クリ子は淫乱な牝豚にしかなれない女なのさ。」女主人の口調が凄みを帯びたものに変わっている。


「ウソだっ!..違うっ!久美ちゃんはそんな女じゃない!そんなはずが無い!」

ワタルが叫んだ。

「ウソなもんかい..。ねえ..クリ子..。」

老女は久美子の乳房から延びる鎖に杖の取手をかけ、手元に引き寄せると、その狭間のカップを手に取った。

「あっ..」溜息とも悲鳴ともつかぬ声が桜色の唇から洩れた。

だが、乳首を引きちぎられるような痛みに久美子の顔は既に苦痛に歪んでいる。

だが、老婦人はそんな事など気にも止めず、マグカップの中のコーヒーを口にしながら言った。

「美味しいこと..。熱さも丁度いいし。やはりコーヒーを冷ますのは人肌に限るわねふふ..もっとも..あんたの、そのみっともないくらいデカい乳じゃ、これぐらいしか能が無いものね。」


入れた瞬間は熱湯の様に熱かったであろう銅製のマグカップも、久美子の乳房で熱を吸収され、ほど良い熱さに変わっている。ただ、その分、それまでに久美子の乳房が受けたであろう熱の為に、久美子の巨乳の谷間の皮膚が、赤くただれているのが哀れだった。


「はっ..はい..。私は、自分の意思でご主人様の..『おま○こ奴隷』にして頂いた淫乱なマゾの『メス豚』です。ご主人様..クリ子のいやらしいオッパイでいれたコーヒーのお味をお褒め頂き..、ありがとうございました。」

久美子は老女の言うがままだ。

「久美ちゃん..違う..違うんだろう?違うと言ってくれ..」訴えるような眼差しでワタルは叫んだ。

ワタル君..久美子の中に忘れかけていた恋の炎が燃え上がっていた。

..ワタル君..私は..久美子は..