良美に迫る毒牙

 その日、祐子と良美の監禁されている折檻部屋に誰も訪れなかった。昼夜が判らない密閉された空間の中では祐子と良美が抱き合うようにして時を過ごしていた。

 「良美さん。ちよっと向うを向いて」

 「はい」

 二人の間ではこれが合図であった。尿意を催すと二人はこの言葉でお互いの排泄する姿から目を逸らすのである。

 床を叩く水音が収まると水道の水を撒く音が聞こえ、祐子が良美の傍らに戻ってきた。

 「お姉さん。大きい方をしたくなりました。何とかならないでしょうか?」

 良美は頬を赤らめて祐子に訴えた。ここに監禁されて四日目、トイレに行く自由もない良美は精一杯、我慢していた。しかし、その限界も近いのである。

 「私も同じです。しかし、私は栗山が来る前にそれをしてはならないと言われています・・・」

 祐子は悔しそうに下を向いた。栗山は排泄する自分を見て笑うのであろう。それを予想して祐子の心は震えるのである。

 「ああ、私たちはどうなるのでしょう?トイレにも行かせて貰えず、こんな場所で死ぬのでしょうか?」

 良美は一層の不安を感じ、祐子の胸に顔を埋めると涙を流し始めた。生来、気の小さい良美にとって祐子の存在はとても大きなものだった。しかし、頼られる祐子も不安は一杯だった。

 「きっと、助かります。神様が私たちを見放す筈は有りません」

 敬虔なキリスト教徒である祐子は神の存在を示して良美を勇気付けようとしていた。しかし、悪魔たちの執拗な痛ぶりによって祐子自身も希望を失い始めていた。祐子は心の中で夫の名を呼んだ。

 鉄の扉が音を立てて開き、悪魔たちが顔を覗かせた。松井、塩野、そして、由里と恵子が勢揃いした。

 「私は今日から留美に代わってあんたたちの面倒を見ることになった由里だよ」

 由里は怯える二人を前に高らかに宣言した。

 「今日は朝から取り込んでいて、奥さんのおしゃぶりのお稽古をするのを忘れてたよ。明日は栗山さんがお見えになるんだからしっかりとお稽古するんだよ」

 由里は祐子を立ち上がらせると手錠を外し、手を後に廻すように指示する。

 「待って下さい。良美さんがトイレに行きたいそうなんです。私は栗山さんが見えるまで我慢しますから良美さんをトイレに行かせて上げて下さい」

 それを聞いた由里は薄笑いが浮かべると床の上に蹲っている良美を見た。

 「そうかい、大きい方がしたいんだね。いいよ。恵子、松井さんと一緒にトイレに連れてって頂戴」

 由里は片目を瞑って二人に言うのだった。

 立ち上がった良美は松井の手で手錠を外され、後手にキリキリと縛られてゆく、トイレに行かすと言いながら手を縛ることに不審を抱いた祐子ではあったが余計な事を言って彼らに臍を曲げられて困ると思い、黙ったまま自分も塩野によって後手縛りに仕上げられていった。

 「さあ、おしゃぶりの稽古だよ。楽しいだろう」

 良美が恵子と松井に従われて室内を出ると再び腰を据えさせられた祐子の頬を由里が突付いた。もう、抗うことは無駄だという事を祐子も承知している。下半身を露出した塩野が目の前に立つと祐子は素直に口を開いて肉塊を口に含んだ。

 「いいかい、しっかりお嘗めして飲み込むんだよ」

 由里はなだらかな愛撫を開始した祐子に声を掛けるとニンマリとした笑みを浮かべ、気分を高めるために祐子の双の乳房を背後より揉み上げた。

 そんな、辱めを受けても祐子は動揺を示さず、一途に塩野を追い落とすことに邁進している。

 顔をくなくなと動かし、膨らませた頬を震わせながら、祐子は無残な修行を続けていた。