留美無残

 次に栗山が指名したのは留美だった。留美は今日から手錠を外され、徹の獣欲の餌食にされるにも抵抗できるようになった。しかし、襲ってきた徹を激しく拒否したため頬を思い切り殴られ青アザを作るという無残な姿で栗山の部屋に引き立てられてきた。

 後手に縛られた素っ裸で椅子に座らされた留美は深い溜息を付いた。

 「あの頃は飛ぶ鳥も落す勢いだったのに随分、変わったもんだな」

 栗山の言葉にも留美は無言だった。全ては自分の罪深さからこのような罰を与えられていると留美は思っていた。

 「徹に毎日、犯されてるんだってな。感じるか?」

 「感じるわけ無いでしょう。あんなけだもの」

 留美は吐き捨てるように言うと唇を噛み締めるようにして悔しさを表現した。

 「僕が君を何で呼んだか判るかい?」

 「どうせ、あなたのことだからおしっこでもさせて喜ぶんでしょう」

 栗山の核心をぐさりと突く留美の毒舌は健在だった。しかし、栗山は怒りはしなかった。却って留美らしさが見られたことに頼もしくさえ思っていたのだ。

 「その通りさ。でも、腹が据わっている留美なら恥ずかしくも何とも無いだろう」

 「そうかもね」

 留美は強がったような態度を取り続けている。プライドの高い留美はかつての自分を知っている栗山の前では弱い自分を見せたくなかったのだ。

 「よし、浣腸してやろう。その方が留美も楽しめるだろう」

 栗山に頬を擽られた留美の目の色が一瞬、変わった。しかし、いかに哀願しようともそれをやってのける男たちであることは留美が良く承知している。留美は黙って睫毛を伏せた。

 溶液の入った浣腸器を手に栗山は留美を風呂場に追い立てる。

 「お願い、このままでいいからお湯に浸からせて」

 いきなり、浣腸を施そうとする栗山に留美は哀願の声を放った。留美は奴隷に降格させられてから風呂に入っていなかった。女の心理としてそんな身体を弄ばれるのは辛いことだった。縄がきつくなる事を承知の上で留美は入浴を懇願したのだった。

 「よし、一緒に入ろう」

 栗山は留美を背後から抱きしめて、湯船の中に座り込んだ。

 「どうだ?再び、奴隷になった気分は?」

 「最低だわ」

 栗山が後から乳房を刺激しながら尋ねると留美は吐き捨てるように答えた。

 「三枝さんはな新しく檻を用意して、徹とお前をその中で飼うかなんて言ってるぞ」

 栗山の口からでまかせの脅しに留美の肩はびくっと震えた。あの徹と狭い空間で二人きりにされたら・・・留美は想像するだけでおぞましい光景に身震いした。

 「怖いらしいな?こんなアザを作られたんだ。拒否したら殺されるかもな」

 栗山は留美の恐怖に歪む表情を楽しむために次々と恐ろしい話を仕掛けてくる。留美は聞くに耐えない言葉に首を左右に打ち振った。

 「お願い。そんな計画、止めさせて」

 留美が今までの突っ張った表情を捨てて、弱々しい態度を見せ始めたことに栗山は心の中でほくそえんだ。自分の要求をエスカレートさせるチャンスなのだ。

 「僕は決定できる立場じゃないよ。三枝さんに頼めるけどね」

 「何でも言うことを聞くから三枝さんにお願いして」

 留美はくるりと栗山の正面に顔を向けると必死の形相で哀願する。直接、三枝に何かを要求する事は奴隷の分際では許されなかったのである。

 「判った。言っといて上げるよ。まず、キスをさせて貰うよ」

 口を合わせた栗山が舌を差し入れてくると留美はそれを情熱的に嘗め回した。とにかく、栗山に嫌われてはならないと必死の留美であった。

 ねっとりとした口付けに満足した栗山は留美を湯船から上げると両腕を縛った縄を解いた。

 「オナニーをして見せてくれ。僕のチンポがおっ立つまで本気でやるんだ」

 栗山の言う事に異を唱えることなど留美には出来なかった。洗い場に足を僅かに広げて寝そべった留美は右手を股間に左手を乳房に置いて自らを慰め始める。

 好きでもない男の目の前でこんな姿を露呈するのは留美にとって、辛いことの違いなかった。しかし、徹と同じ檻に監禁されると聞いた留美は本気になってオナニーを演じていた。

 「片膝を立ててよく見えるようにしろ」

 栗山の言葉にすぐさま反応した留美は左膝を立て、自らが慰めている部分を誇張する。

 熱い息を吐き、肉体をくねらせ、妄想を掻きたてながら留美は一途に指先を動かしてゆく。

 栗山は目前で痴態を演じる白い生き物を観察して喜悦の表情を見せていた。

 (あっ、往きそう)

 頂点を迎えそうになった留美は思わず指先の動きが鈍った。しかし、そこを栗山は見逃さなかった。

 「恥ずかしがってる場合か?徹と一緒の檻に入れられるぞ」

 栗山の言葉を聞いた留美は忘れていた恐怖を思い出し、遮二無二指先を使い始めた。

 「あっ、うっ、う」

 低い呻き声を上げ、身体を弓反りにした留美は頂点に達した。

 啜り泣きを洩らし、ぴったりと閉じ合わせている太股を痙攣さしている留美の姿を目にして栗山は満足な笑みを浮かべていた。情念を極めた留美の全身から以前には感じられぬような色気が発散していたのだ。

 「よくやって、見せてくれた」

 上体を引き起こされた留美は潤んだ瞳で栗山を見つめると恥ずかしそうにその胸に顔を埋める。

 「お願い。徹と一緒にするのだけは止めて」

 哀願の声を洩らす留美にかつてのプライドの高さは消えうせ、徹との同禁の恐怖に苛まれている弱い女に変貌している。栗山はその裸身を抱きしめたまま立ち上がらせるとくるりと背中を向けさせた。

 「湯船の縁に両手を付いて尻を高く掲げろ」

 留美が素直にその息苦しい臀部を目の前に突き付けると栗山は尻の合わせ目に指を這わせ、攻撃地点を探り当てる。

 「嫌、触らないで」

 激しく頭を振って拒否しても栗山はがっしりと腰を抱え、留美の身動きを封じ、がっしりと指先を挿入した。

 「ひぃー」

 留美の喉から壊れた笛のような声が沸いても栗山は強引に指先を埋め込み、内部を激しく探索する。

 「痛い、恥ずかしい、狂っちゃう」

 抱えられた双臀を震わして留美は訳のわからないことを口走り、頭を狂ったように打ち振った。

 十分に留美の苦しむ姿を堪能した栗山の指先を引き抜くとそれを鼻先に押し当てる。

 「結構、溜まってるみたいだ。臭いがきついよ」

 栗山は残酷にもその掌でを留美の鼻を覆った。

 「止めて、何をするの」

 自分の臭いを嗅がされた留美は激しく顔を動かしてそれから逃れようとする。

 「自分の臭いだ。そんな嫌がるもんじゃないぜ」

 栗山の馬鹿力で押さえ込まれた留美は掌で完全に鼻を覆われ、涙を流すしか無かった。

 「もう、嫌。浣腸するなら。早くして」

 栗山の無残な遊びに音を上げた留美は口が自由になるとそんな事を口走るのだった。

 「お望みどおり浣腸してやるぜ」

 浣腸器を手に取った栗山が先端を蕾に突き立てると留美は首を仰け反らせ、息を止めた。

 それを知ってか知らずか栗山はゆっくりとポンプを押してゆく。

 僅かずつ体内に送り込まれる溶液の感触に留美は髪の毛を乱して苦悶する。

 「は、早く済ませてよ。じれったい。じれったいの」

 「少しずつのが嬉しいんじゃないか?」

 栗山はポンプを押す手を休めてそんなことを嘯くとニヤリと笑った。浣腸責めに悲鳴を上げ、のたうつ若い肉体を彼は楽しんでいる。

 ようやっと矛先を引き抜かれた留美はガクッと首を垂れて大きく息を付いた。堪らないじれったさから解放された満足感だった。

 「あ、何をするの?」

 留美が再び悲鳴を上げて身体をくねらせた。栗山が再び浣腸器を押し立てたのだ。

 「もう、一本、ご馳走してやるよ。物足りないんじゃないか?」

 「嫌よ。許してよ」

 留美が弱々しく首を振って哀願の声を洩らしても栗山は一切、動じない。

 残酷そうな笑みを浮かべた栗山がまた僅かずつ溶液を送り込み始めると留美は涙を流して呻き声を上げるのだった。

 「よし、こっちを向け」

 腕を取られた留美が正面を向くと栗山はそのワナワナ震える唇に口をピッタリと合わせ、乳房を揉み上げ、隠微な愛撫を開始する。

 下腹に鈍痛のようなものを感じ始めた留美はそれでも栗山の愛撫に煽られ、情念を溶かしてゆく。

 「寝そべりな」

 言われた通りに留美が洗い場に寝そべると栗山はしなやかな両腿を抱え上げ、留美の中心点に自らを打ち込んだ。

 快感を追求する男と便意を堪える女のセックスは荒々しいものとなり、留美は忽ちのうちに頂点を迎えてしまった。

 「早く、抜いて。もう、我慢できないのよ」

 組み敷かれたままの留美が快楽の余韻の中で呻くように言っても栗山はそのままの姿勢を崩さなかった。

 「俺はまだ往ってないぜ。このままやりな」

 無情にも栗山は再び、腰を動かし始めた。栗山の無残な行為を留美は跳ね付ける事も出来たのだが徹との一件が有り、無体な態度は取れない。

 留美は押し寄せてくる便意に身を揉みながら再び着火した情念の炎に支配されてゆくのだった。

 「駄目、駄目。往っちゃう」

 栗山の荒々しい行為に再び頂点に導かれた留美はむせ返るような声で告げた情念を極めてしまった。そして、それは押し寄せてくる便意に対する備えを油断させてしまう。

 「あっ、出ちゃう」

 しなやかな両肢をピーンと上方に緊張させた留美が爆音と共に内容物を放出させると栗山も頂点を迎えた。

 茶褐色の海の中でのたうちながら号泣する留美を目にして栗山は快心の笑みを洩らした。鼻を付く悪臭も汚物も一切気にならない栗山はこの異常な性交の中で新たな悦びを発見した気分に陥っていた。