翌日、昼過ぎに栗山は自分の車に乗って三枝の家に向かっていた。警察の事情聴取も終え、アリバイも立証された栗山は捜査の圏外になったことを確信した栗山は意気揚々と車を走らせていた。用意は周到だった。今回の訪問は二泊三日を予定しており、祐子との結婚式がその主目的だったが勿論、他の娘たちも楽しむつもりだった。
車を邸内に乗り入れ、呼び鈴を押すと松井が出迎えに現れた。
「やあ、いらっしゃい」
「また、お世話になります」
当たり障りの無い挨拶を交わした栗山はさっそくモニタールームに案内された。中では三枝が二人の女と共に画面に見入っていた。
「やあ、いらっしゃい」
三枝が振り向くと女も釣られて栗山の方を向いた。
栗山は留美が居ない代わりに由里の顔をそこに見つけて驚いたようだ。
「驚かれたようですね。留美の奴は思い上がっていたから奴隷に落としてやった。代わりに由里が昇格したという訳です」
三枝は栗山の唖然とした表情を楽しむかのように話している。
「宜しくね。栗山さん」
由里は栗山の前に進み出ると挨拶代わりのキスをするのだった。
「おお、これはこれは」
栗山は照れた笑いを浮かべると三枝の隣に座ってモニターにさっそく目を凝らした。
地下室では栗山の興味あるシーンが展開されていたのだ。後手錠に拘束されている留美が由希に手伝ってもらって用を足すところだったのである。
「いい気味でしょう。留美は三日間、手錠拘束の刑を受けているのよ」
由里が得意げになって話しかけても、栗山は返事もせずじっと画面を見入っている。
「栗山さん。栗山さん」
三枝に呼び掛けられて栗山は我に返った。
「祐子はご要望どおり、排泄していませんよ。随分、苦しいみたいですけどね」
「えへへへ、それはどうも」
栗山は返事はするが視線は相変わらず画面に向けられたままだ。三枝は構わず話し続けた。
「結婚式は本日、午後6時よりアトリエにて行ないます。その席で奴隷全員を集めますので祐子と良美を紹介したいと思います」
「判りました。祐子には因果を含めて式に出席させますので先に会わせて下さい。ウェディングドレスも用意しましたから」
「ほほう、それは良い。じゃあ、お部屋の方に連れてまいりましょう」
三枝が由里と恵子に指示を与えると二人は部屋を出て行った。
画面の中では便器に跨った留美の臀部が大写しにされていた。背中の中ほどで手錠に拘束された留美の指先が悔しそうに踊っている。留美の股間から水流が勢い良く迸り、便器の中に落下していくと栗山の顔が喜悦の表情に変わってゆく。
この男は俺、以上にこういうことが好きなのか。三枝はそんな事を思いながら一心に画面を追う栗山の横顔を見つめていた。
やがて、画面から目を離した栗山は思い出したように持参していたカバンを開いた。
「奴隷たちにこれを身に着けさせて結婚式に出席させてやって下さい」
栗山が取り出したのは色取り取りのパンティだった。丁寧に一つずつビニールに包まれ、名前まで振られていた。
「ほう、一人、一人、別々ですか?」
「ええ、僕からの彼女たちへのプレゼントです。美加子先生なんかには黒のレースの物、弘美ちゃんにはリボンが付いた物というように個々に僕が似合うと思うものを買い揃えてきました」
「有難う。そのように致しましょう」
三枝はパンティを受け取ると礼を述べた。
「あっ、そうだ。留美の分は用意してなかったんです。彼女には別のものを上げようと思って」
「構いません。由里のを穿かせればいいでしょう」
三枝に言われて栗山はそれもそうだと頭を掻いた。
「祐子はそちらで衣装があるとして良美はどうしますか?」
「彼女は羞恥心が人一倍強いみたいですから、一人だけ素っ裸で置いときましょう」
「なるほど」
三枝は栗山と笑い声を上げたがふと何かを思ってビデオテープを取り出した。
「良美の自然排便のテープがあります。ご覧になりますか?」
「ええ、是非」
栗山は新たな喜びを感じながらテープが再生されるのを待ちきれぬ様子でモニターに視線を向けていた。