「恥ずかしいだろう?祐子」
栗山が傍らによって腋の下を擽るとそれまで涙ぐんでいた祐子はカッと目を見開き鋭い視線を送った。
「恨むわよ。あなた妻にこんな格好をさせて平気なの?」
涙ぐみながら祐子は精一杯の皮肉をぶつけたつもりであったが栗山は平然としている。
「そんな格好をしても君は美しい。何を嫌がっているんだ」
栗山がそんなことを嘯きながら、奥深い羞恥を突付いたので祐子は激しく身悶え、何か毒づこうとするのを三枝が静止した。
「奥さん。これは何だかご存知かな?」
三枝が手にしているガラス製の大きな浣腸器を目にして祐子の顔色は一瞬にして変わった。悪魔たちはこんな恥ずかしい姿のまま浣腸を施そうとしている。祐子は目も眩むような屈辱感を覚えていた。
「奥さんにはこれから三本の浣腸を受けて貰う。一本目が注入されてから一時間、我慢し通せば奥さんの勝ちだ。こういう事にしようじゃないか」
含み笑いを浮かべた三枝は恐怖に歪む祐子の表情を楽しみながら言った。一時間も我慢できることが無いのは三枝も承知だ。それ故、悲壮な決意を求められている祐子の内心を思うと心がときめくのである。
「さあ、祐子、返事をしなさい」
栗山が顎を掴んで決意を求めると祐子は不貞腐れたように横を向いた。
「勝手にすればいいわ。私は何としても良美さんを守るんだから」
それは半ば祐子の意地だった。悪魔たちがどんな難題を突き付けても祐子はそれに挑戦したであろう。ここに捕われて以来、一縷の望みであった良美の貞操を蹂躙されること祐子にとって受け入れ難いことだったのである。
「よく言った。褒めて上げるよ」
栗山は祐子の強張った頬を撫でると三枝に呼ばれて祐子の下半身側に向かった。
そこでは良美が涙を流しながら懇願している最中であった。
「もう、私はどうなってもいい。お姉さまをこんな酷い目に遭わすのはやめて」
自分を守るために敢えて悪魔が仕掛けた悪辣な罠に自ら進んで飛び込もうとする祐子を見かねて良美は三枝に頭を下げた。
しかし、浣腸責めの絶好の機会を得た三枝は承知しない。
「お前は黙っていろ」
三枝に一蹴された良美は処刑の時を待ち、目を閉ざしたままの祐子の開かれた裸体に駆け寄り、声を掛ける。
「お願い。お姉さま。もう、私のことは構わないで」
無謀な挑戦を止めさせようと必死な思いで訴える良美に気が付いた祐子はそっと睫毛を開くと優しげな視線を送った。
「いいのよ良美さん。私が決めたことだから」
良美を落ち着かせようと祐子は諭すような口調で語り、微笑さえ浮かべるのであった。
「お姉さま!!」
良美が胸が詰まりそうな思いに駆られ、更に祐子に近づこうとするのを栗山が背後から押し留める。
「祐子がああ言ってるんだ。良美ちゃんはおとなしくしてな」
栗山によって嗚咽の声を洩らし始めた良美が部屋の片隅に連れ去られると祐子は再び目を閉ざした。身も凍るばかりの悪魔たちの処刑を前に祐子は心を落ち着け、その開かれた裸身を完全に静止させていた。
「さて、そろそろ準備に取り掛かろう」
松井との入念な打ち合わせを終えた三枝は持参してきた道具を机の上に並べ始める。
新聞紙を敷き、三本の溶液が入った浣腸器、便器を配置し、祐子の官能美を盛り上げた双臀の下に大きな枕を押し込め、処刑の準備は整った。
「さて、一番手は旦那さんですか?」
松井が笑って浣腸器を差し出すと栗山は首を振った。
「三枝さんにお譲りしますよ。僕は二番手でたっぷりと楽しみます」
「そうか、悪いですな」
三枝は恐縮しながら浣腸器を受け取ると机の上に腰を乗せ、あからさまに晒された祐子の肉体を凝視した。三枝に見つめられていることを感じるのだろう、目を閉じたままの祐子は苦悶の表情を見せながら吊り上げられた二肢をユラユラ揺さぶってる。その態度が妙にいじらしく思えた三枝は思わずニッコリと微笑んだ。
「奥さん。わしが一番手で浣腸をすることになった。覚悟はいいかな?」
陰毛を摘まれ、最後の宣告を受けた祐子は静かに頷き、掠れた声を出した。
「お願い。約束だけは守って下さい」
「ああ、、いいとも」
三枝はあっさりと答えると最奥の蕾に触れた。祐子は辛そうに息を吐きだすと顔を横に伏せ再び目を閉ざした。三枝は暗い悦びを感じながら浣腸器の矛先を押し立てた。
「うっ」
異物が侵入してきたことに祐子は小さく呻き、なよなよと首を震わせる。
三枝はいつか弘美の母親もこのようにして浣腸してやるんだと思いながらポンプを押し込んだ。
祐子は辛そうに眉を寄せ、体内に侵入してきたおぞましい溶液に心を震わせている。
何の罪も犯していないのに幸せな生活を破壊され、心も凍るような浣腸を施される我が身。祐子はその辛さ、悔しさに知らず知らずの内に涙が頬を伝わっていた。
「何だ。奥さん。嬉し涙を流しているじゃないか、まだ、二本も味わえるんだ。楽しみにしていな」
一本目の溶液を残らず叩き込んだ三枝は満足そうな笑みを浮かべて机を降りると祐子の頭上に揺れる鎖に腕時計を吊るした。
「目を開きな、奥さん」
祐子が恥じらいの表情を浮かべて目を開くと三枝は頭上に揺れる腕時計を指差した。
「今、丁度、八時だ。九時まで我慢しとおせれば奥さんの勝ちだ」
後、二本もの浣腸に祐子が耐えられないことを百も承知の三枝はその文字盤を祈るような視線で見つめる祐子を見ておかしそうに笑った。
祐子の無謀とも言える挑戦は今、始ったばかりだった。
悪魔たちは良美をからかったりしながら時間の経過を待っていた。続けざまに味遭わされるより時間を置いて、注入された方が生贄がより苦しむのを彼らは知っていたのだ。
「さて、今度は僕がしてやろう」
十分ばかり経過した頃を見計らって、栗山が机に腰を落した。
既に明確な便意がはっきりと現れている祐子は慌て気味な声を上げた。
「あなた、お願いだから、そんな事しないで・・・」
「どうしたの?まだ、一本だけじゃないか」
祐子が便意に苦しみ始めたのを知っている栗山は浣腸器をこれ見よがしに見せ、わざとそんな事を言って祐子を焦らす。
「もう、しないで、これ以上されると・・・」
祐子は便意が訪れた事を告白するのが恥ずかしくて頬を染めている。そんな風情が栗山にとっては一番、嬉しい事なのだ。
「でも、君は三本の浣腸に耐えると約束したんだよ。約束を破っちゃ駄目ですよね」
栗山は三枝の同意を求めるために振り向いた。
「亭主の君が良いと言うならパスさせても構わんぞ」
最後に松井の留めの一撃が控えていることを承知の三枝は鷹揚な態度を示した。
祐子は三枝の言葉に縋るように必死の懇願を繰り返す。
「お願い。他のことなら何でもするから、それだは、ね。お願い」
「しょうがないな」
栗山は苦りきった表情になると祐子の頭部、近くに腰を落した。
「君の願いだ。聞き届けてあげるよ」
「あなた。有難う」
祐子はほっとするように息を付くと笑顔まで見せて栗山に礼を言うのだった。
「その代わり、君のおしゃぶりが欲しい。いいだろう?」
祐子は栗山のあまりの要求に一瞬、表情を強張らせたがすぐさま、自然な表情を見せる。
「判ったわ。ご馳走して下さい」
祐子は耐え難い内心とは裏腹にうっとりとした表情を見せて目を閉ざした。
下半身を露出した栗山が机の上に乗り、しっかりと下腹部を押し当てると祐子はその先端を優しげに愛撫しつつ、やがてそれをすっぽりと飲み込んだ。
栗山も蠢惑の花園に舌を這わせ、祐子を刺激し始める。不意に祐子の体内から腹鳴が轟いたの知って栗山はニンマリとした。いよいよ、現実として訪れた便意との戦いを強いられながら栗山を必死に愛撫していた。